認知行動療法について

認知行動療法とは認知と行動を変えることによりつらい気持ちや感情を軽減する心理療法のことを言います。

同じような現象でも人によりとらえ方は様々です。例えば、仕事で失敗しても「次は同じミスはしないように頑張ろう」と思う人もいれば、「あー。私はなんてダメな人間なんだ。また失敗してしまった」と思う人もいます。人によりこのように感じ方の違いが生まれるのは「認知」の違いがあるからです。

 

〇認知、感情、行動は繋がっている

認知、感情、行動は密接に関わっていると言われています。

例えば、恋愛で失恋したときに落ち込んで一人で泣く人もいます。同じ失恋でもすぐに切り替えて新たな出会いの場に行く人もいます。このような行動の違いも認知の違いにより生まれます。また、行動と感情も相互に影響しあっています。一人で部屋で落ち込んでいるとさらに気持ちは落ち込みどんどん凹んでいきます。そのような場合は部屋に引きこもっている行動を変えることで感情に変化をもたらすことができます。これが認知行動療法の基本的な考え方です。

〇従来の心理療法との違いは?

従来の心理療法は深層心理を探ることが中心で過去の問題に対して焦点をあてていました。しかし、認知行動療法は過去の問題ではなく現在に焦点をあてているのが特徴です。

また、認知行動療法では毎回どのようなテーマで話し合うのか明確にし進めていきます。そのため効率よく本当に困っている問題から解決していくことができます。

 

〇どのような疾患が認知行動療法の対象になるのか?

〇うつ病

〇双極性障害

〇PTSD

〇強迫性障害

〇不安障害

など

 

認知行動療法の種類について

認知行動療法にはいくつか技法があります。その中からいくつか紹介したいと思います。

〇漸進的筋弛緩法

不安や緊張を感じると筋緊張は高まります。筋緊張を自分でコントロールし不安感の軽減につなげるリラクセーション方法です。

やり方のポイント

全身の筋肉を1か所ずつ緊張させてから、弛緩させます。弛緩とは力を抜くことです。

手の漸進的筋弛緩法のやり方

1、右手を軽く握り、その後に手の力を抜いてぶらんとさせる。これを2回行う。

2、左手も同様に行う

3、右ひじを曲げて右上腕部に力を入れてから右手の力を抜きぶらんとさせる

4、左ひじも同様に行う

 

漸進的筋弛緩法のメリット、デメリット

〇誰でも簡単にできる

〇どこでも気軽に行える

デメリット

いきみ動作なので心臓など血管に負担がかかる。

※高血圧や糖尿病などの人は気をつけてください

 

〇自律訓練法

心の中で言葉を唱え、自己暗示によって神経の興奮をしずめる方法です。

やり方のポイント

心の中で公式を唱えます。

唱える公式は背景公式「気持ちが落ち着いている」、第1公式「両腕両足が重い」、第2公式「両腕両足が温かい」、第3公式「心臓が規則正しくうっている」、第4公式「楽に息をしている」、第5公式「お腹が温かい」、第6公式「額が涼しい」です。

 

背景公式から行います。次に第1公式を60~90秒唱え、実際に感じるのを待ちます。感じることが出来たらいったん伸びや手を開いてリセットします。そして公式2,3と進めていきます。

 

自律訓練法のメリット・デメリット

メリット

筋肉だけでなく心拍数や発汗量にも影響が出る

 

デメリット

静かで適度な広さがあり、快適な温度の部屋で行う必要があるなど環境設定が面倒

 

〇エクスポージャー法

苦手とする行動や場面を繰り返すことで不安感を減少する方法

 

やり方のポイント

不安階層表を作成する。不安度を0~100で評価し、数値の高い順に並べる。不安度の低いものから実際に行っていく。最初は治療者と一緒に行うか、イメージで行うことが多い。慣れてくると不安度の高いものに移行していく。

 

エクスポージャー法のメリット・デメリット

メリット

PTSDの治療に効果があると言われている

デメリット

強い精神症状がでる危険性もある

※その場合はあまり無理はしない

 

〇SST(ソーシャルスキルストレーニング)

人とのかかわり方などの社会的スキルを練習する方法です。他者の行動を見本とする方法。

やり方のポイント

SSTについてはこちらを参考にしてください。

http://hapikuru03.com/communication/40/

 

SSTのメリット・デメリット

メリット

指導者の見本や参加者の見本をまねることでスキルを獲得できる

デメリット

1回の時間がながい

※ただ、SSTは疲れた場合は途中退席しても構わない